第5回 アートへの「門」

アートとともに生きていく、あなたのために。

「アーティストになる」ことについて、そして、「アートに関わる仕事につく」ことについて、みなさんの質問にお答えするというかたちで、考えてきました。

ここまでの話は、アートとともに生きていくための入り口、あるいは準備段階で考えることばかりでした。しかし、今はまさにその「入り口」が多様化し、ひろがり続けている時代であることは、みなさんもご存知の通りです。

「入門」という言葉があります。美大生、芸大生であるみなさんはすでに、大学というそれなりに大きな、そして制度的なアートの門をくぐって、ここまで歩いてきました。

しかし卒業後、みなさんは、大学受験とは比べ物にならないほど多様なアートへの門が点在する社会へと出ていくのです。

アートへの門が増えることは、私たちの世界にとって素晴らしいことです。

しかし、私たちそれぞれは、いくつもの門を同時にくぐることはできません。ですから、自分の門がどこにあるのか、それはどんな形をして、その先の道のりはどうなっているのか、よくよく探し、観察し、想像してみなければなりません。

アートへの門の多様さは、その先にある道のりや、アートのあり方の多様さと対応しています。だから、自分にとってのアートへの門を探すことは、自分にとってアートが何であるかについて考えることなのです。

もちろん、実際に門をくぐってみないことには、その先の道のりも、アートのあり方も知ることはできません。カフカの『掟の門』の旅人のように、考えすぎるあまり、門をくぐることなく行き倒れてしまっては本末転倒です。

このコラムは、みなさんそれぞれが自分にとってのアートへの門を思い描き、そして一歩踏み出すために、少しでも役に立つようにと願いながら、書き進めてきました。しかし、まだまだ考えるべきことはたくさんあります。

これからもみなさんからの質問に答える形で連載を続けて参りますので質問窓口への投稿をお待ちしています。


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