【卒業後の準備 ① 想像しよう】
2020-10-07
想像してみよう。卒業後の自分はどんな生活をしている?
想像できますか?自分がどんな日々を暮らしているか。
どんな家に住んでいますか?どんな仕事をしていますか?どんな生活でしょう?
想像ができなくても、どんな家に住みたい、どんな仕事をしたい、どんな生活にしたい、など意向はありますか?
まずは作品制作や演奏活動と同じで、イメージを捕まえることから始まります。自分の未来は自分でつくらなければ何もはじまりません。社会に出て、実践する時です。あなたはどんなふうに学びを活かして生きていくでしょうか?社会にどのように貢献したいですか?考えてみましょう。
就職する?しない?
世間一般の大学とは違って、就職活動をする人数の割合が低いのはどの学科でも同じだと思います。ですので、学生間の卒業後についての会話が少ないかもしれません。しかし、世間一般の人々と同じように、「将来」も「卒業後」もやってきます。
「わたしは就活しようと思っている」そんなあなたは、一歩一歩就職に向けて準備を進めてください。準備は早いほうがいいです。3年生になったらすぐに就職活動に向けての情報収拾をはじめましょう。まずは学生課の「就職相談」の予約をとることをお勧めします。
まだ就職するかどうか迷っている方から急いで具体的な準備をすすめなければいけない、面接練習をしなければいけないなど幅広い相談にのってくれますよ。
「当然就職活動はしない」と思っているあなた、どうするかは決めていますか?就職以外の進路は「進学」「留学」「専門学校/資格取得」「起業」「アルバイト」「その他、旅など」の6つくらいに分かれます。そのための準備は大きく分けると「学びの環境を確保する」のか「自身で活動の環境を確保する」のかのどちらかです。どの道に進むにも、「事前準備」は必要ですよ。
進学して大学院に進みますか?
より専門的な技術を学びたかったり、研究活動を続けたかったりする方は大学院に進むことも視野にいれるでしょう。しかし博士課程まで進んで研究者や専門家としての道を選ぶつもりのない方は、大学院の修士課程は2年です。あっという間にまた「卒業後」がやってきますので、卒業後も視野に入れた活動を心がけたほうがいいですよ。卒業後に向けた準備は何をすべきかわかっている人は1年。なにもわかっていない場合は2年くらいはかかります。
あと、もちろん「進学」には学費もかかります。その間の生活費はどうするのか?学費はどうするのか?奨学金ってどんな制度なのか?調べたり家族と話し合ったりして学びの環境をきちんと確保しましょう。
海外留学しますか?
学ぶ学校を探したり、学ぶ学校の先生に自分の意欲をアピールしたりすることが必要になります。留学をした先輩たちを探して、より現実的な情報収集を進めるのもいいでしょう。もちろん学費・生活費についての検討も必要になります。資金補助に使える奨学金はないか?しっかり調べて充実した学びの環境を自分に用意しましょう。海外留学では言語の壁もあり、精神的に辛い状況に陥ることも多いですので、家族等支えてくれる協力者たちとしっかり事前に話し合っておくことも必要ですよ。
資格を取得する?
就活をせずに国家資格を取得したいと考える方もいるかもしれません。国家公務員試験を受けたりするひともいます。起業するために専門学校に入り直す人もいたりします。学び続けるためにはその学費、その間の生活費が必要です。就職して資金を確保しながら資格の取得をする人もいます。自分の取得したい学びにはどのような環境が必要なのか、自分のしたいことは就職したら本当にできないことなのか?しっかり情報収集をして納得した進路を選べるように、学生のうちから気持ちの準備をしましょう。
起業しますか?
ピアノ教室や陶芸教室など、教える道を選ぶ人もいるでしょう。フリーランスの演奏家や個人レッスンの先生、美術家として作品を売る、など、これらは全て「自営業」つまり「個人事業主」になることとなります。音楽事務所やギャラリーに所属する、といっても、ほとんどの場合毎月決まった「給料」が支払われるわけではないので、自分で生活するための資金をやり繰りして経営していかなくてはなりません。「自分のやりたいことで食べていくんだ!」という方、それは、「個人事業主」になる、ということです。務めた年数で昇給していくような世界ではないので、安定した収入をえられる保証はありません。また、事業計画や経理など、誰かを雇って仕事を一緒にしてもらう財力がない場合は、自分のマネジメントは自分でする、ということになります。働かなくてもいい財力がある場合や家賃や生活費を払ってくれる応援者がいない場合は、自分で稼いで生活をし、その上で芸術活動をするための環境、スタジオやアトリエ、事務所などの仕事場、あるいは事業費を確保しなければなりません。それらが卒業後に突然すべて必要になります。学生の時のように作品を制作する場所や相談し合う仲間ちょっと手伝ってくれる友達がすぐそばにいる環境ではなくなります。
数年間は社会勉強をしながら自立のための資金を稼ぐ、というのが現実的な人も多いかもしれません。就職活動をしない、ということは、「自由のためにより過酷な道を選ぶ」と思ったほうがいいでしょう。社会的な信頼を得られるまで、5年や10年続けることが必要になります。自立した生活ができるようになるまでの期間、どのように生活を維持するのかもしっかり考えて準備をしましょう。「なんとなく就活をしない」を選んで「どうにかなる」は幻想です。むしろ経済的な自立にむけて自分でしっかり頑張れない、という方は「とりあえず就活」をお勧めします。
アルバイトをして生計を立てますか?
「芸術活動だけで食べていけるようになるまでには時間がかかる?」そんな質問をするひとがいますが「あなたがやろうとしている芸術活動は稼げることではない」あるいは「今稼げていても、突然稼げなくなることもある」と考えるほうが自然です。
個人事業主として頑張ろうとしていて、なかなかすぐに経済的な自立までいかずやむをえずアルバイトをしながら頑張る、というのはあるかもしれませんが、「アルバイトをしながら芸術活動を続けていて、いつか食べれるようになる」なんてことはありません。何才までアルバイトで生計を立てて生活していくつもりでしょうか?40才?50才?自分の道は自分で決める自由がありますのでアルバイトの道をとめるつもりはありませんが、社会的な信頼を得づらくなることや、ギリギリ生活はできたが何か別の道を切り開こうとした時に貯金がない、若くないから頑張れない、趣味や社交をする経済力まではなかったので世界が狭い、そんな状況になるリスクを十分に理解した上で選びましょう。もちろん経済は時代の流れにも当然影響を受けますし、どんな会社も経営困難になる可能性がないとは言えませんが、経営する能力が自分に問われるのが自営業です。マネジメント能力に自信のない人は、早めに卒業後の準備をしましょう。
旅に出ますか?
自分の世界を深めるために、視野を広げるために、自分が何がしたいか知るために「旅に出たい」と考える人もいるでしょう。あるいは実現したい芸術活動のこと以外に関心が持てない、あるいは「将来を計画したくない」、「予定調和な人生なんてごめんだ」、「とにかく今を生きたい」そんな人もいるでしょう。でも、どう考え、何をするにしろ、社会の中で「何か」を実現するためには準備が必要です。卒業後はどんな人も「社会人」になるのです。歴史や文化の詰まった「社会」の中で、ぜひみなさんの才能を活かして生きていってほしい。せっかく何かをイメージしたり、イメージしたものを実現する/表現する能力の高いみなさんにこそ、その能力を十分に発揮して世界を魅力あるものにしてほしいと期待しています。旅をするなら充実した旅をするために、きちんと情報収集をしたり、自分がどんな旅がしたいのか落ち着いて考えたりしてください。その資金くらいクリエイティブに確保してください。自由に生きるためには沢山の「技」「知恵」が必要です。「卒業後」とは、いよいよ実践する時です。焦らず、でも着実にあなたの実現したいものを実現できるように、学生のうちに、稀なキャリア歩んできている先生や先輩たちとのネットワークを活かして沢山の人に相談しましょう。
いかがですか?「自分の気持ち」が見えてきましたか?「意欲」は才能です。覚悟することで道はひらけてゆきます。
出来るだけ安定して稼げるようになりたい、あるいは「貧乏するのは絶対いや!」と考える人は就職活動をしましょう。「就職したら芸術活動ができない」はなんの根拠もない迷信です。「就職活動」について知ってから「就職活動しない」を選びましょう。「しない」より「する」ほうが学びのチャンスにあふれています。好奇心で「就職活動」について調べてみてもバチは当たりませんよ。
「経済的な自立」ができなければ芸術活動に必要不可欠な「精神的な自立」ができません。「経済なんかに縛られて自由を奪われるなんて嫌!」と考える人は、できる限り早く卒業後の準備を始めましょう。